入札とは?入札についてわかりやすく解説 | 入札入門編

入札入門編

入札に興味はあるけれど、何から始めたらいいかわからない、難しそうと感じている方もいらっしゃることでしょう。そんな方のために、入札について解説していきます。

はじめての入札で知っておきたい基礎知識

初めて入札を行う方や入札に興味のある方必見!入札の基本的な知識について、簡単にわかりやすくご紹介します。

入札とは「公平性を確保する契約方式」

入札とは、国や地方自治体などの官公庁が民間会社と契約締結を結ぶ際に、公平性や透明性を確保した契約方式を表します。

よりわかりやすく説明すると、国民が払っている税金を使用している官公庁が、税金を無駄にしないよう、一定の条件を提示したうえで、最安値で請け負ってくれる事業者を選ぶといった契約方式のことです。

案件の詳細が記載されている「入札仕様書」

入札仕様書とは、官公庁の契約担当者が作成する入札案件の詳細が記されている書類。契約金額を積算するための条件が記載されています。

入札案件の内容は幅広く業種も様々!

建設工事などの専門分野だけでなく、入札にはもっと身近な入札案件が多く存在します。

【入札案件の例】

  • 建設工事に関する案件
  • 雪の多い地域の除雪作業案件
  • 広報誌やイベント冊子を配布する案件
  • 公共施設やシステムの保守や管理案件
  • 企画や運営などの業務請負  など

入札の制度とは

入札制度とはどんな手続き内容なのかをご紹介します。

発注案件を応札して選定する方法

入札制度とは、発注者である公的機関(発注行政省庁、地方公共団体、各種法人団体など)が発注する案件を、一般の事業者に応札させて選定する手続きを表します。

通常では、不特定多数の参加者を募る入札方法の「一般競争入札」が原則となっていますが、入札準備や作業時間がかかってしまうことから、例外的な取り扱いとして「指名競争入札」や「随意契約」などが認められることもあります。

入札の参加メリットとデメリット

入札に参加するメリットやデメリットをご紹介します。

入札に参加するメリット13選

入札に参加するメリットは以下の通りです。

  1. 受注する仕事の内容が決まっているため営業がいらない。
  2. 債務不履行がない。
  3. 入札に参加し受注することでまとまった売上が期待できる。
  4. 広告宣伝費が不要。
  5. 多種多様な仕事がある。
  6. 社会貢献活動として利用できる。
  7. 社内のモチベーションアップとしても活用できる。
  8. 仕事が途切れにくい。
  9. 入札ビジネスとして新規事業の立ち上げにおすすめ。
  10. 企業価値が上がる。
  11. 社会的信用が得られる。
  12. ランク別制度で子会社でも勝ちやすい。
  13. 大手企業からの下請けや孫請けが受注しやすくなる。

入札に参加するデメリット7選

入札に参加する際のデメリットは以下の通りです。

  1. 落札後から仕事終了後まで費用の支払いは行われない。
  2. 入札参加には、保証金が必要な場合がある。
  3. パソコンの動作環境などの手続きが面倒。
  4. 企業情報を国に公開しなければならない。
  5. 仕事に取り掛かるまで時間がかってしまうことがある。
  6. 入札へ参加しても落札できるとは限らない。
  7. 民間営業と比較し、楽に仕事がもらえるわけではない。

入札の種類

入札は大きく分けると、一般競争入札、指名競争入札、随意契約、企画競争入札、公募の5種類存在します。それぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介します!

1.一般競争入札

一般競争入札とは、広報やホームページなど幅広く公告し、一定の参加資格を有するすべての企業が参加できる入札方式を言い表します。選定方式は、不特定多数の企業から、もっとも値段の安い有利な条件を提示した企業を契約相手として選ぶ仕組みなため、入札案件も多く、競争率も高いといった特徴があります。

▼一般競争入札のメリットとデメリット

提示する価格のみで選定されるため、中小企業や零細企業も落札しやすい。入札実績の積み上げができるといった点がメリットとしてあげられます。しかし、価格競争が激しく、利益が少なくなってしまうといった面がデメリットです。

2.指名競争入札

指名競争入札とは、国や地方自治体が資力信用など、その他についても適切であると認める企業を指名し、入札に参加させ、もっとも値段の安い有利な条件を提示した企業と契約を結ぶ入札方式です。一般競争入札とは違って、企業から参加したいと申し出ても、参加はすることはできません。

▼指名入札のメリットとデメリット

一般競争入札よりも、入札に参加する企業が限定されるため、落札しやすい点がメリットとなっており、デメリットは発注機関から指名されないと参加できないといった仕組みです。

3.随意契約

随意契約とは、一般競争入札や指名入札とは違い、入札自体を行わずに契約相手を決めてしまう契約方式です。そういった場合、2社以上の企業から見積書をとることが条件とされ、選定対象企業として、過去に落札した実績のある企業が選ばれることが多いです。

また、随意契約は以下のような特別な理由がないと行われません。

  • 競争の性質や目的が競争を許さない場合。
  • 緊急を要する際に競争に付することができない場合。
  • 競争に不利と認められる場合。
  • 障碍者関係施設や認定生活困窮者就労訓練事業の施設、母子福祉団体、シルバー人材センターなどで生産している物品を買い入れる契約を行う場合。
  • 上記の施設で役務の提供を受ける場合。
  • ベンチャー企業より新商品を生産した品を買入、借入する場合。
  • 上記の施設で役務の提供を受ける場合。
  • 時価と比較し、著しく有利な価格で契約ができる見込みがある場合。
  • 予定価格が少額の場合。  など

▼随意入札のメリットとデメリット

随意契約は企業が選ばれ、契約が結ばれると入札確定となるため、難なく落札できるといったメリットがあります。しかし、随意契約として選ばれることは難しいといったデメリットも存在します。

4.企画競争入札

企画競争入札とは、発注者となる公的機関が提示する予算額の範囲内で、複数の企業が企画提案や技術提案を提出し、提案内容を審査する入札方式です。企画内容や企画遂行能力が最も優れている企業が選ばれるような仕組みになっています。

▼企画競争入札のメリットとデメリット

値段ではなく企業評価で選ばれるため、利益が見込めるところがメリットですが、提案書を作成して提出しなければならないため、手間がかかる。企業提案内容も評価対象なため、企画力も高くなければならないといったデメリットがあります。

5.公募(公募型競争入札)

入札参加を希望した企業から、一定の資格や条件を有する企業を選ぶ入札方式を言います。参加表明書を提出した後に審査され、指名通知書を受けた企業が入札へ参加できます。

公募のメリットとデメリット

メリットは、企業が選定されている状態で入札へ参加することができるため、落札の確率が高い点。デメリットは選定基準に達していないと選ばれない点です。

入札に必要な資格

入札へ参加する際に必要な資格についてご説明します。

発注機関によって名称が異なる

大きく分けると入札資格は主に3種類に分けられます。

【各機関別の入札資格について】

  • 官公庁:全省庁統一資格
  • 官一部外郭団体:独自の入札資格
  • 地方自治体:独自の入札資格

※資格申請には原則的に費用はかかりません。

入札までの流れ

入札に参加する際の主な流れについてご説明します。

1.入札で必要となる資格を取得する

参加したい入札機関へ申請を行いましょう。入札資格の詳細については、各機関のウェブサイトで閲覧できるため、参加資格の情報をご確認ください。

2.入札案件を探す

入札案件の見つけ方は2通りあります。1つめは自社社員に頼み、自力で情報収集する。2つめは入札案件を探すための情報サービスを契約して探すです。それぞれ以下にメリットやデメリットをまとめていますので、ぜひチェックしておきましょう。

自社社員で情報収集するメリット・デメリット

自社社員自らで情報収集するメリットは、費用を抑えながら入札情報収集ができ、ノウハウを蓄積することができます。また、特定発注機関と関係構築が狙えるといった点もメリットと言えるでしょう。

しかしデメリットとして、発注機関の入札情報収集は全国で800以上と数が多いためすべてに目を通すのが難しく、情報量が限られてしまうため、特定地域の情報収集しかできず、同様の状態の企業との競争が激しくなってしまうことが考えられるでしょう。

入札情報サービスを利用するメリット・デメリット

入札情報サービスを利用するメリットは、検索機能を使った簡単検索で全国から入札情報を探すことができる。さらに、新着案件の通知(メールなど)が届いたり、過去の落札情報なども気軽に閲覧することができます。

デメリットは、ツールのサービス利用料などの費用が掛かってしまう点やツール内の機能を十分に使いこなせない、特定の機関の入札情報のみを探す場合は活用の幅が狭くなるといった点があります。

3.仕様書を受け取る

各案件情報内にある概要を確認し、参加したい入札案件を決定後、案件の仕様書を受け取ります。案件を公示している発注機関のwebサイトからダウンロードまたは発注機関へ出向き、仕様書を受け取りましょう。ただ最近だと感染症の影響により、メールで仕様書を取得したい旨を連絡すると送付してくれる発注機関が多いです。

4.説明会に参加する

入札仕様書を受け取る際に、説明会へ参加しましょう。説明会参加は必須の場合もあるため、事前確認しておくと安心です。ただ感染症の影響で、最近だと説明会自体がない場合もあります。

5.案件を入札する

入札仕様書をもとに算出した見積書や書類を提出し、入札となります。

入札方法は「会場で入札」と「電子入札」の2タイプ存在します。

  • 会場で入札:入札書に直接金額や社名などを記載して専用箱へ入れる。
  • 電子入札:インターネット上でICカードとカードリーダーを使用して入札する。

6.落札ができたら契約を交わす

一般競争入札の場合、最低金額で入札した企業が落札できます。その際、参加した企業の入札金額も共に発表されるため、入札情報として必ずチェックしておきましょう。

落札後は契約先の機関と契約書を交わします。

入札の注意点5つ

入札する際にいくつか注意しておかなければいけない点があります。以下にまとめておりますので、必ずチェックしておきましょう。

  1. 等級によって、参加できる入札案件が決まるため、実際に参加できるか、事前確認しておきましょう。
  2. 資料の提出期限日や入札日のタスク管理はしっかりと行いましょう。
  3. 提出資料の記入漏れや間違いがあると無効となってしまうため、事前にチェックしておきましょう。
  4. 入札情報は効率的に幅広く探してみましょう。
  5. 案件が公示され入札日までのスケジュール管理は必ず行いましょう。

まとめ

今回は入札について初心者の方でもわかりやすいようまとめました。参加するのに面倒な手続きがあるように見えて、実際に入札してみるとそれほど難しいことはありません。公的機関の依頼のため、信用性が高く、規模の大きな案件が多いため実績としてはとても魅力的なものも多いです。ぜひ上記をご参考にしていただき、入札にチャレンジしてみましょう!