入札案件はどのように生まれる?入札の流れと裏側~入札案件予算/発注の仕組み〜

入札中級編

入札案件とは、自治体や官公庁の案件で、「入札」というプロセスで獲得できる案件です。
入札案件が、生まれてから発注に至るまで、の流れを知ることで、案件を受注する(発注を受ける)ことに繋がります。

入札案件の予算はいつ組まれ、そしてどのように発注されるのか。

今回は入札の流れとその裏側、入札案件の予算や発注の仕組みにフォーカスを当てて紹介していきます。

入札案件はどのように生まれる?

入札案件は、自治体などが抱える課題などを改善し、より良くするために行う事業のために作成されます。

自治体などの発注側はまず情報を収集し、取り組みたい事業を検討します。それぞれが抱えている課題や問題などと照らし合わせ、解決に役立つものなど様々な情報を収集します。自分たちで解決しようとするより、民間の事業者に依頼した方が効率やクオリティが高いものになる場合があります。そのため、情報収集は何より欠かせないことです。

情報がある程度集まってきたら、取り組みたい事業の内容をざっくりと固め始めます。引き続き情報収集も行いながら、取り組む事業の概要を決定していきます。

そして取り組みたい事業が決定した後に予算が組まれ、入札案件が生まれます。

入札はどうやって決まる?

入札まで2年かかる

まず、入札までには一般的に2年かかります。前年度に入札の上流工程である予算編成を行い、下流工程である発注をその次年度に行うことが理由です。

取り組みたい事業の情報収集や決定などが前年度の上半期に行われ、下半期には予算編成が行われます。

前年度に生まれた入札案件に、次年度にはいよいよ業者を選定して、発注が行われます。

アプローチのタイミングを左右するのは

アプローチをするタイミングは、こうした入札案件が生まれる時期を考慮します。このため、国や各自治体などの予算編成のスケジュールを把握することがとても大切です。

発注の段階になりようやく自社製品のアピールを初めても、ライバルとなる競争相手がたくさんいたり、発注側はすでに発注先の候補を固めてしまっているかもしれません。

製品・サービスの独自性と新規性、そして実績。発注側はこれらがある事業者から順番に絡んでいきます。そのため、発注側が取り組む事業を決定する前、情報収集の段階から、自社の製品・サービスの独自性や新規性のアピールをしていきます。自社製品やサービスが、発注側となる自治体などが抱えている問題や課題の解決などに役に立つと考えてくれたなら、その自治体などが取り組む事業が自社に関係するものになることもあるでしょう。さらに仕様書の作成などに関わることが出来れば、発注を得る可能性はもっと高くなります。

実績がある事業者を選ぶのは、単純に信頼ができるからです。いままでにどんな仕事をどのように行ってきたのか。同じような製品を持つ事業者が複数あれば、今までに実績があり、より信頼のおける事業者を選びたい人も多いのではないでしょうか。

入札実績がない事業者の場合は、自社製品のアピールや、相手の現状や課題などの情報収集などから特にしっかりと取り組んでいくことが肝心になってきます。

予算はどうやって組む?

アプローチをかけるタイミングをつかむために、各自治体などの予算編成のスケジュールを把握することが大切、というお話をしました。ではその予算はどのような流れで編成されていくのでしょうか。

予算を組むためには、法令などで定められた7つの原則と、3段階の段取りが存在します。

予算の7つの原則

予算は以下の7項目に則って作成されます。

総計予算主義の原則

収入と支出はすべて歳入歳出予算に計上しなければなりません。

単一予算主義の原則

一切の収入と支出を一つの予算にまとめ、予算を組むのは一会計年度に一回としなければなりません。

予算統一の原則

予算を誰にでもわかりやすいものとするために、歳入と歳出の分類を調整して、一定の秩序をもたせなければなりません。

予算事前議決の原則

予算は年度開始前に議会の議決を受けなければならず、この議決がなければ使うことができません。このため、首長は会計年度ごとに予算を組んで、遅くとも年度開始前、都道府県及び政令指定都市(人口50万人以上の市)は30日前、その他の市町村は20日前までに議会に提出しなければなりません。

会計年度独立の原則

各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって当てなければなりません。会計年度終了後は予算を使うことができず、補正などの予算追加も認められません。

予算単年度主義の原則

予算は会計年度ごとに組んで次の会計年度以降の予算に響かせてはなりません。

予算公開の原則

議会で予算が確定したら、地域住民に公表しなければなりません。また、条例のルールに従って、年二回以上財政に関する情報を住民に情報公開しなければなりません。更に都道府県知事は総務大臣、市町村長の場合は都道府県知事に確定した予算を報告しなければなりません。

予算編成の3段階の段取り

予算編成は、まず事業部が「予算要求」を提出し、財務部などと「ヒアリング」を行い、「予算査定」を経て完成した「予算案」が議会にかけられて確定となります。

事業部門が次年度の仕事の予算を上げる

4月~8月位にかけて、各事業部が次年度に行う事業に必要な予算の見積もりをまとめ、「予算要求」と呼ばれる資料を提出します。

この予算要求書を作成するためには、当然、次年度に取り組む事業を決定してからでなければなりません。前述したように事前にたくさんの情報収集を行い、取り組む事業とそれに必要な予算を計算し、財務部などに提出をします。

財務部がチェックする

事業課が提出した予算要求書における事業の必要性を判断する機会を設けるため、予算編集担当者に対して「ヒアリング」が行われます。

  • 予算要求額の見積もりなどの疑問点や不明点を確認し、誤りがあれば修正をする
  • 予算要求が予算編成方針に適合しているか確認をする

ヒアリングの後、「予算査定」を行います。要求された予算の見積金額の是非の判断や調整を行い、このステップで評価クリアした事業は首長のチェックを経て、「予算案」の確定となります。

最終的に議会にかけられる

こうして完成した「予算案」を議会に提出し、審議が行われます。この議会で承認されて、次年度の予算の成立となります。

発注とはどうやってやる?

ここまでで、入札案件の作成の流れ、予算編成の流れをご紹介しました。次に行われるのはいよいよ「発注」です。発注はどのように行われるのでしょうか。その流れをご紹介します。

①候補となる事業者を選ぶ

発注先となる会社や事業者を選定するため、候補者を選びます。

広く公募をする一般競争入札と、少数の事業者を指名して競争させる指名競争入札がありますが、同じ競争入札でもこの2つには大きな違いが存在します。

公募型・一般競争型

一般競争入札とは、官公庁などが入札案件の仕様書を公示し不特定多数の参加者を募ります。その中で最も有利な条件を提示した入札者が落札する入札方式です。

  • メリット:透明性・公平性が確保される
  • デメリット:事務負担が増えるなどの業務コストが高い

一般競争型では、不特定多数から募った参加事業者の全てが候補者となります。

指名型・指名競争型

指名競争入札とは、発注側が事前に発注先の候補となる会社や事業者を少数指名し、その中から最も有利な条件を提示した入札者と契約をする入札方式です。

  • メリット:事務負担を減らすことにより業務コストを削減できる
  • デメリット:透明性・公平性の確保への課題が残る

事前に候補者を指名しているところが一般競争型との大きな違いです。

このように一般競争型と指名競争型では、大きく違ったメリットデメリットがあるため、入札案件ごとに向いている入札方式を選択することになります。

②候補から発注先を決める

候補となる事業者から発注先を決定する入札方式を3つご紹介します。

最低価格落札方式(入札)

「最低価格落札方式」は一番低い価格を示した事業者が落札する入札方式です。

まず発注側は候補者全てに仕様書を提示し、候補者は指定の日時までに請負可能金額を決められた様式で提出します。発注側は提出された候補者の提示金額を比較し、一番価格が低い候補者を発注先とします。入札の形式として一般的に多く知られている入札方式です。

プロポーザル方式

企画書提案書を提出させ、その企画内容で評価して1社を決める方法が「プロポーザル方式」です。事業提案方式とも呼ばれる入札方式です。

発注側が提示した仕様書に示された業務に対する企画提案書を、事前にエントリーした候補者に提出させます。企画内容のプレゼンテーションも併せて評価する場合と、企画提案書のみで評価する場合の2パターンがあります。

「プロポーザル(proposal)」とは、「企画、提案」の意味です。

総合評価落札方式

企画提案書やプレゼンテーションで評価して、適正価格で交渉することで1社を決める入札方式が「総合評価落札方式」です。最低価格落札方式とプロポーザル方式の良い所を併せ持っています。

まず企画提案書とプレゼンテーションで評価し、数社に絞ります。そこから金額を提出させ、企画と価格の両方で評価し1社を決定します。一般的に企画点2、価格点1の割合で評価されるため、どちらかだけが優れているのではなく、両者のバランスが取れている事業者が選ばれることになります。

まとめ

いかがでしょうか。入札案件が生まれてから発注に至るまでの流れを知ることは、発注を得ることに繋がります。

今回ご紹介した入札案件作成から発注までの流れを要約すると以下のようになります。

  • 前年度に入札案件の予算が組まれる
    • 上半期には入札案件を決定し予算案を作成、下半期に予算が成立する
  • 次年度に発注が行われる
    • 一般に広く公募するものもあれば、指名された少数の候補者から選定する場合もある
    • 発注先の選定は、価格で決定する方法や企画提案書で決定する方法などがある

自社製品やサービスをアピールするのであれば、相手側の課題や予算編成スケジュールなどを把握し、タイミングを見計らうことが重要です。

次年度の入札にむけて、是非、参考にしてください。

参考:
・地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)
・書籍「地方自治体に営業に行こう」P192~P194