入札書と入札書封筒の書き方 具体的に解説

入札中級編

入札は、紙の入札書を提出する場合と、システムに入力する電子入札があります。今回は紙での入札にで使用する「入札書」と「入札書封筒」の書き方について解説します。紙で入札を行う際に提出する「入札書」やそれを入れた「入札書封筒」ですが、これらには細かいルールや注意点が存在し、不備があると入札自体が無効になってしまうこともあります。入札参加の準備にかけた時間や手間を無駄にしないためにも、入札に参加する前に、入札書と入札書封筒の書き方を確認していきましょう。

入札に必要な書類

入札に必要な書類とその様式は、発注機関である官公庁や自治体によって少しずつ異なり、所定の様式が用意されていることもあります。そのため、入札参加の際には、発注機関からの説明書を注意深く読むことが欠かせません。ここでは、一般的に必要とされる書類について、確認します。

  1. 入札書
  2. 内訳書
  3. 委任状
  4. 入札書封筒

以上の4つが、入札に必要な書類として、一般的なものです。入札書については後ほど解説します。残りの内訳書と委任状、入札書封筒について、見ていきます。

内訳書とは

内訳書については、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の第十二条に記されています。

第十二条 建設業者は、公共工事の入札に係る申込みの際に、入札金額の内訳を記載した書類を提出しなければならない。

e-Gov法令検索

内訳書は、入札書に示した入札金額の内訳を示す書類です。内訳書は入札書と同様に大切な書類のため、不備や提出忘れがあると、入札が無効になってしまうこともあります。

価格競争だけでなく、技術をはじめとした他の要素も見られる入札では、落札を決める大きな要素になってきます。じっくり検討し、不備のない内訳書を作成しましょう。

入札書の金額の根拠となる、大事な書類です。しっかりと記入しましょう。

委任状とは

会社の代表者以外が入札に参加する際に必要な書類です。代表者の代理人として、入札に参加していることを示すものです。入札に参加する人が、課長や部長などの役職を持っていても、委任状は必要となります。

入札書封筒とは

入札書をはじめとした必要書類を入れる封筒です。ただ封筒に書類を入れればいいわけではなく、決まった書き方で書き、指定の方法で封かん、封印する必要があります。こちらについても、後ほど詳しく解説します。

入札書とは

1-入札書の資料 八王子市

(引用元:八王子市ホームページ「工事・修繕関係様式」https://www.city.hachioji.tokyo.jp/shisei/001/011/006/p007425.html

入札書は、入札に欠かせない、最重要書類といえます。入札書には、どのようなことを記入するのか、一般的なものをみていきます。

  1. 入札件名
  2. 入札金額
  3. 日付
  4. 会社名
  5. 会社住所
  6. 代表者名
  7. 代理人名(実際に入札に参加する人の名前)

入札書には、以上のことを記入します。入札金額の前には円マーク(¥)を、末尾には―を記入します。日付はどの時点のものを記入するかは、発注機関によって異なるので、いつの日付を記入するのか、しっかり確認しましょう。

入札書の書き方

入札書の書き方には、いくつかの注意点があります。入札書の書き方を間違えると、入札が無効になってしまうこともあるので、確認していきましょう。

入札書を書く際の注意点

入札書の書き方には、注意すべき点があります。

  • 一旦記載した入札金額は訂正しない
  • ゴム印の使用に注意する
  • 入札書の欄外に捨印を押す
  • 提出期限は厳守する
  • 入札書の金額を内訳書の金額と一致させる

記載された入札金額を訂正してはいけません。

また、捨印は、入札書作成段階で、余白に押すものです。

ゴム印は使用可能な発注機関もありますが、使用を認めていない発注機関もあります。入札参加の際に、ゴム印の使用可否を確認する必要があります。

無効となる場合

入札書の書き方において、下に書いたような不備があると、入札自体が無効になってしまうこともあります。このような不備は徹底して避けましょう。

  • 記載された入札金額を訂正している
  • 入札書の金額と内訳書の金額が異なっている
  • 入札書の提出期限を過ぎている
  • 日本語で記載していない
  • 消去可能な筆記用具(消えるボールペンなど)で記載している
  • 訂正印がない

入札金額は大切なものなので、入札金額を訂正する必要がある場合は、入札書そのものを書き直す方がいいです。入札書と内訳書の金額が異なっていると、混乱を招き、発注機関が検討する際に困ってしまうので、避けましょう。

入札書の提出期限は、当然のことながら厳守です。提出期限を過ぎてしまえば、せっかく準備した書類も意味をなくしてしまいます。

重要書類ですので、消去可能な筆記用具での記載は無効になります。記入する前に、使用する筆記用具を確認してから記入を始めましょう。

入札書の封筒の書き方

入札書封筒にも、書き方があります。入札書を入れるだけと侮ってはいけません。ここにも見落とせない注意点があります。記載事項を確認し、注意点を確認しましょう。

記載事項

2-入札書封筒の資料 八王子市

(引用元:八王子市ホームページ「工事・修繕関係様式」https://www.city.hachioji.tokyo.jp/shisei/001/011/006/p007425.html

入札書封筒の記載事項は、一般的に下に挙げるものです。発注機関によって、朱書きを要求されるなど、書き方が少しずつ異なることがあるので、発注機関の出す記入見本をしっかり確認し、不備のない入札書封筒にしていきましょう。

  • 発注機関名
  • 入札番号(契約番号)
  • 入札件名
  • 「入札書在中」と記載
  • 会社の住所
  • 会社の名前
  • 代表者名
  • 代理人名(代理人が入札に参加する場合)

これらのことを記載した上で、上に示した例のように封印、封かん(糊付けで封をすること)します。

無効となる場合

入札書封筒の記載において不備があると、入札が無効となってしまう場合があります。無効になる場合の例は、以下の通りです。

  • 封筒に封かんがない(封筒が糊付けされていない)
  • 封筒が封印されていない(押印されていない)
  • 1つの封筒に2枚以上の入札書が入っている(入札書封筒に複数の入札書をまとめて入れてはいけません)
  • 指定のもの以外を使用している
  • 記載された入札案件名、会社名、代表者名など重要な情報が不明瞭で判読できない

入札書を書き終えて安心してしまい、入札書封筒の記載漏れや記載ミスなどを起こしてしまうと、場合によっては入札そのものが無効になってしまいます。最後まで気を抜かずに、書き方に注意して、入札書封筒を記載しましょう。

まとめ

入札に参加する際に提出する入札書と、それを入れる入札書封筒の書き方を確認しました。せっかく魅力的な提案ができていても、入札書や入札書封筒に不備があると、入札が無効になってしまうこともあります。そのような事態を防ぐためにも、発注機関からの情報も確認し、万全の準備をして入札に臨むことをおすすめします。