
入札公告を見ていて、入札保証金や契約保証金といった、聞き慣れない言葉に疑問を持つこともあるかもしれません。基本的に数千万円以上規模の建設工事系案件だとあることが多いです。入札保証金と契約保証金について知り、入札に参加する準備を進めましょう。
入札保証金、契約保証金とは?
入札公告を見ていたら、入札保証金や契約保証金の言葉が出てきたけれど、どういったお金のことなのか、また、何のためのお金なのかもわからないと困惑することもあるでしょう。入札保証金と契約保証金がどういうものなのか、簡単に説明します。
入札保証金とは?
入札保証金とは、入札参加者が落札したにもかかわらず、契約締結を行わないといった事態に備えて一時的に発注機関に預けるお金を指します。落札したのにもかかわらず、契約締結がされないと、発注機関の仕事の進捗に影響が出てしまい、結果として、行政サービスを受ける住民の生活にもよくないことになるためです。
入札保証金について、おさえておくべきポイントは以下の通りです。
- 入札参加者が納める
- 落札したのに契約締結しない場合には没収される
- 上に挙げた場合や落札して契約保証金の一部とされた場合などを除き、基本的には返還されるもの
納めた際の、入札保証金振込証明書は、入札参加の際に必要な書類ですので、しっかり保管しておきましょう。入札保証金の金額や支払い方法については、後ほど解説します。
契約保証金とは?
入札参加者が落札したのに契約締結しない場合に備えているのが入札保証金でした。では、契約保証金とは、どういったものなのでしょうか。契約保証金は、入札に参加し、落札し、契約締結したその先、契約履行がされない場合に備えたものなのです。契約を締結しても、実際の業務が行われなかった場合に没収されることになります。
契約保証金についての大事なポイントは以下の通りです。
- 落札し、契約締結をした事業者が納める
- 契約締結したのに契約履行されない(業務が実行されない)場合に没収される
- 契約履行後に返還される
契約保証金として納める金額や支払い方法については、後ほど解説します。
入札保証金、契約保証金はいくら必要か
基本的に返還される前提とはいえ、一旦は納める入札保証金と契約保証金。金額がどれほどなのかも、大切な要素です。あらかじめ、どれほどの金額が必要か知っておくことで、入札参加に向けた準備が可能になるためです。
入札保証金の金額のめやす
入札保証金の金額は、法律によってめやすがあります。発注機関が国の場合は会計法、地方自治体の場合は地方自治法、地方自治法施行令を根拠としています。一例として、国が根拠としている会計法を見ていきます。
第二十九条の四 契約担当官等は、前条第一項、第三項又は第五項の規定により競争に付そうとする場合においては、その競争に加わろうとする者をして、その者の見積る契約金額の百分の五以上の保証金を納めさせなければならない。ただし、その必要がないと認められる場合においては、政令の定めるところにより、その全部又は一部を納めさせないことができる。② 前項の保証金の納付は、政令の定めるところにより、国債又は確実と認められる有価証券その他の担保の提供をもつて代えることができる。
e-Gov法令検索
基本的に、入札保証金として、入札参加者が提示する見積金額の5%以上を納めなくてはならないことになっています。つまり、大きな金額の動く案件の入札に挑戦する場合には、納める入札保証金も高額になります。このため、入札保証金を納めても経営に支障がないか、よく検討してから入札に参加する必要があります。
入札保証金を免除される場合もあるとわかります。この際の条件については後述します。
契約保証金の金額のめやす
契約保証金の金額も、発注機関が国の場合は会計法、地方自治体の場合は地方自治法、地方自治施行令によって定められています。ここでは、発注機関が国の場合に参照する会計法を見ていきます。
第二十九条の九 契約担当官等は、国と契約を結ぶ者をして、契約金額の百分の十以上の契約保証金を納めさせなければならない。ただし、他の法令に基づき延納が認められる場合において、確実な担保が提供されるとき、その者が物品の売払代金を即納する場合その他政令で定める場合においては、その全部又は一部を納めさせないことができる。② 第二十九条の四第二項の規定は、前項の契約保証金の納付について、これを準用する。
e-Gov法令検索
契約保証金は、契約金額の10%以上とされています。金額としては、入札保証金<契約保証金となることがわかります。
こちらも、契約金額の大きな案件であればあるほど、契約保証金も高額になるため、納められるか検討した上での、入札参加が望ましいといえます。
契約保証金においても、免除となる場合があります。免除の条件については、後述します。
入札保証金、契約保証金はいつ返還されるのか
入札保証金は見積金額の5%以上、契約保証金は契約金額の10%以上とされており、高額の案件であればあるほど、納める金額は多くなります。落札したのに契約を締結しなかった場合や契約締結後の契約不履行の場合を除けば、入札保証金や契約保証金は返還されるものです。しかし、事業者にとっては、返還されることそのものも大事ですが、いつ返還されるのかも大切です。
どのタイミングで入札保証金や契約保証金が返還されるのでしょうか。
入札保証金は、落札者が決まった後に、他の入札参加者に返還されます。しかし、落札者決定の直後ではなく、数週間後~数ヶ月後の返還となっているので、返還時期には注意しましょう。
また、落札者は、入札保証金を契約保証金の一部とすることがあります。
契約保証金は、契約の履行のための担保ですので、契約履行後に返還されます。発注機関にもよりますが、入札保証金と同じく、契約履行後すぐの返還ではないため、注意が必要です。
入札保証金、契約保証金の払い方
入札保証金と契約保証金の支払い方法を見ていきます。どちらも、入札公告に書かれている通りの納入期限までに、以下のいずれかの方法で納入します。
- 現金(発注機関の窓口に持参、指定金融機関の窓口で振込、指定金融機関の口座に振込など)
- 有価証券
有価証券の場合には、さまざまな指定がされることもあるので、入札公告をしっかり確認しておきましょう。入札保証金振込証明書をはじめとした、納めたことを示す書類を確実に保管しておく必要があります。
入札保証金、契約保証金が免除になる条件
入札保証金や契約保証金は、公共事業が遂行されるために、大切なものですが、事業者にとっては負担ともなりえます。そのため、入札保証金や契約保証金が免除される場合もあります。
入札保証金が免除になる場合
入札保証金が免除になる場合は、大きく分けて以下の二つです。発注機関が国の場合を見ていきます。
- 入札参加者が被保険者を国とした入札保証保険契約を保険会社と結んでいる場合
- 特定の条件(特定の資格がある、資本額や経営状態において信用に足ると判断できるなど)を満たす場合
発注機関により、入札保証金の免除の条件も異なるため、しっかり確認する必要があります。
契約保証金が免除になる場合
契約保証金も、免除になる場合があります。
- 契約履行の確実な担保があると認められる場合
- 物品の売払代金をその場で納める場合
大きく分けて、以上の二つが免除の条件となります。ここでは、どのような契約にも適用できる「確実な担保」について見ていきます。
「確実な担保」とは、銀行等の保証、発注機関を被保険者とした履行保証保険契約の締結などを指します。これ以外にも独自の規定で免除を行っている発注機関があるため、確認してみましょう。
まとめ
入札に参加する際に支払う入札保証金、落札後の契約締結の際に支払う契約保証金について、解説しました。基本的に返還されるものですが、一時的とはいえ納めるものですので、金額や返還時期などを検討した上での入札参加をおすすめします。
入札保証金や契約保証金の取り扱いも発注機関によって少しずつ異なるため、自力で調べるのは大変です。入札データベースを活用して、情報を確認し、入札に参加してみてください。
参考:https://www.city.tateyama.chiba.jp/kankei/page020684.html